第51回日本てんかん学会学術集会へようこそ
(てんかんをめぐるアート展2017同時開催)
- 「医療と研鑽と未来」
(Best care, Best research and Future)
第51回日本てんかん学会学術集会を2017年11月3日(金)~5日(日)の3日間、京都市宝ヶ池の国立京都国際会館で開催させて頂くことになりました。京都で皆様をお迎えできることを大変うれしく思います。近畿では、1997年の31回大会が故河合逸雄会長(国立療養所宇多野病院院長)のもとで京都で開催されて以来、実に20年振りとなります。昨年の第50回大会が日本てんかん学会の過去半世紀の節目の年次集会となり、今回は正に次の半世紀の第一歩となります。
今回は、「医療と研鑽と未来」(Best care, Best research and Future)をテーマにいたしました。
てんかんを取り巻く状況には、基礎医学、臨床医学、医療とケアなど実に様々な側面があり、それぞれが密接に関連しています。
相互の架け橋(translatability)が益々進み、近い将来に克服される疾患となることを期待されています。
ベストの「医療」を提供するには、「基礎研究と臨床研究」(研鑽)からの絶え間ない裏打ちが必要で、両者はまさに車の両輪の関係です。それを実行継続するには不断の教育が肝要で「未来」に引き継いでいくことが可能となります。そのような思いで、今回のテーマを考えました。
以下に本年の学会の概要をご説明させていただきます。
1)一般演題
本大会では、過去の年次集会で最も多い419題の一般演題を応募いただきまして誠にありがとうございました。21世紀に入り、てんかんをとりまく基礎医学(iPS細胞研究、ネットワークの解明、ホメオスターシスからの病態解明)、臨床医学(多くの新規薬、自己免疫や遺伝子異常などの新たな病態、高齢者てんかん、新規診断技術、脳刺激療法、てんかん定義と発作分類とてんかん分類の進歩)、医療(地域診療ネットワーク、国際的てんかん撲滅運動など)の各方面では、めまぐるしい勢いで多様な展開と発展が起こっていることの表れと理解します。
2)特別講演
海外から3名の先生をお招きしました。Samuel Wiebe ILAE理事長(カナダ)は現在注目されているprecision medicine in epilepsyについて(11月3日)、Alexis A. Arzimanoglou教授(フランス)には、Childhood epilepsy syndromes: a consfantly evolving conceptについて新しい国際分類をふまえての考え方について(11月4日)、Jean Gotman教授(カナダ)は、EEG, the New Frontierでデジタル脳波の新しい発展について(11月4日)、各分野の最も重要な内容の講演をしていただけることとなりました。
3)honorary educational lecture
若い臨床医と研究者の先生方へのメッセージとして、3名の先生にお願いしています。柴崎浩京都大学名誉教授からは、pathophysiology of cortical myoclonusを通じて研究と臨床のあり方をお話ししていただく予定です(11月3日)。Hans O. Lüders教授(米国)には、Concept of the epileptogenic zoneからてんかん焦点とネットワークの考え方について(11月4日)、田中達也ILAE前副理事長にはPrimary generalized seizure and secondarily generalized seizure: What we have learned from experimental models of epilepsyから実験てんかんまでを俯瞰しての全般発作の考え方をお話ししていただきます(11月4日)。
4)AOEC(Asia Oceanian Epilepsy Congress)expert lecture(2題)(11月3日)
ILAEのアジアオセアニア地域(CAOA=Commission on Asian and Oceanian Affairs)の直近の第2代、第3代理事長の、Shih-Hui Lim教授とByung In Lee教授に教育講演をお願いしました。CAOAの組織の中には、故清野昌一元JES理事長がILAE内のCAOA以外の5地域に先駆けて設立されたASEPA(Asian Epilepsy Academy)という教育組織があり、高く評価されています。2名の先生ともに、理事長時代にASEPAを大きく発展させ、自らもアジアオセアニアの各地域での講演会のlecturerとしても精力的に貢献されました。その御経験を踏まえて、Shih-Hui Lim教授(シンガポール)には、Training and Education in Epileptology-From Achieving Competencies to Building Capabilitiesとして、てんかん学の教育とトレーニングにおいて、専門医レベルに到達してさらに継続的な自己学習能力の涵養について、教育の方法論を踏まえてお話ししていただきます。Byung In Lee教授には、Essence of drug treatment in epilepsyとして、最新の抗てんかん薬の講義をしていただきます。
5)会長講演(11月4日)
「神経細胞、グリアとてんかん:paradigm shiftは起こるか?」というテーマで、単施設でのデータ蓄積、多施設共同研究、記録と解析の標準化、病理的共同研究、数理モデル化の共同研究、という経過を提示させていただきます。特に、欧米の多施設共同大規模スタディーのためのシステムが構築されている状態に対して、JESでも同様のシステムつくりが肝要と感じ、ワークショップ2では「多施設共同大規模スタディーのために」を企画させていただきました。
6)シンポジウム9企画(このうちKES-JES symposium2企画を含む)、ワークショップ8企画
シンポジウムとワークショップは、2016年夏までに行った評議員対象のアンケート結果を集計して各テーマを取り上げました。その後、プログラム委員および運営委員を中心に、1企画あたり各テーマを専門とするオーガナイザー2名を依頼して、概要、企画の到達目標、候補speakerを推薦していただきました。この方法では多くの先生方のご協力を賜りできるだけ多くのご意見を反映できるようにいたしました。またできるだけ多くの先生にspeakerとなって頂けますように、重複をできるだけ避けるようにいたしました。
基本的なテーマから、最新の話題(iPS とてんかん、遠隔医療、てんかん原性とネットワーク、高齢者てんかん、グリアとてんかんなど)まで広くカバーされています。また例年同様に、本学会の委員会(男女共同参画委員会、基礎研究推進委員会、長期計画検討委員会)主体の企画は重要な諸問題を取り上げていただいています。ワークショップの中にはてんかん外科Pros/Consのように対立軸を通して理解が深まるセッションも企画されました。
KES-JES symposium(11月3日)は、1)AMPA、mTOR 基礎から臨床
、2)emotional disturbance in people with epilepsyよりなりますが、本学会の国際担当委員会での議論とKESとの議論でテーマと決めました。
7)教育講演11演題、マラソンレクチャー16演題
教育講演は専門医レベルの生涯教育、マラソンレクチャーは初学者レベルの基本的内容として、それぞれほぼ同じ会場で教育企画を2日間にわたり一日中たっぷりと学ぶことができます。
8)3日目(11月5日日曜日)の企画
通常企画以外に、新たにメディカルスタッフセッションを企画しました。午後の閉会式後には、市民公開講座1と2部(てんかんをもっとよく知ろう)、てんかんをめぐる病診連携では、京都府医師会の先生方には企画、座長、speakerに多大なご協力をいただきました。また同日は京都府医師会の先生方には1日入場券を是非ご活用いただきご参加いただけましたら大変幸いです。ポストコングレスシンポジウム(Advanced ECoG/EEG Analysis in Epilepsy)は2名の海外のspeaker、日本人speaker、このセッション内ポスターも予定されています。
9)てんかんをめぐるアート展2017
昨年の静岡学会から新たに始まったアート展は大変評判が高く、本年も静岡てんかん神経医療センター井上有史院長の全面的なご協力のもと開催予定です。本年は学会開催期間の11月3~5日の前後にわたる11月1~5日、京都大学総合博物館内で特別展示として開催します(午前9時から午後4時半まで)。昨年は160余の作品応募があり、本年は2次元作品に限らせていただき、約90の作品応募を頂戴しました。京都市立芸術大学の先生方のご協力のもと準備中です。「てんかんをもっと正しく理解していただきたい」ということも開催テーマに盛り込み、作品展示とてんかんの啓発展示を準備しています。また学会3日目(最終日)午後の市民公開講座(てんかんをもっとよく知ろう)終了後には、チャーターバスで直接京都大学総合博物館に向かっていただくことができ、またその日は開館時間を夜間に延長(夜間開館は午後5時半から7時半まで)していただいております。
上記以外にも、指導医講習会(11月3日)、困った症例検討会(11月4日)、第14回 迷走神経刺激療法(VNS)技術講習会(11月5日)、てんかん学研修セミナー(11月5日)も、例年同様開催されます。
以上、大変長くなりましたが、京都は11月、紅葉の美しい最も魅力的な季節となり、皆様をお迎えすることができます。国内だけでなくアジアオセアニアをはじめとする諸外国からの先生方にも、年次集会と京都を満喫いただけますように努力いたします。
尚、会の準備には、JES事務局、主管校事務局、本大会の各種委員会(プログラム委員会、運営委員会、企画プログラムのオーガナイザー、てんかんをめぐるアート展2017運営委員会等)、大変多くの皆様のご協力を賜りましたことをお礼申し上げます。
皆様のご参加を心からお待ちしています。
平成29年9月吉日
第51回日本てんかん学会年次学術集会会長
てんかんをめぐるアート展2017運営委員長
池田 昭夫
第51回日本てんかん学会年次学術集会副会長
髙橋 良輔
ご挨拶
第51回日本てんかん学会学術集会を2017年11月3日(金)~5日(日)の3日間、京都市宝ヶ池の国立京都国際会館で開催させて頂くことになりました。京都で皆様をお迎えできることを大変うれしく思います。
近畿での開催は、1997年の31回大会が故河合逸雄先生(国立療養所宇多野病院院長)のもとで京都で開催され、実に20年振りとなります。
昨年の第50回大会が日本てんかん学会の過去半世紀の節目の年次集会となり、次回は正に次の半世紀の第一歩となります。
1)てんかんを取り巻く状況は21世紀になって大きく変わりました。
てんかんの有病率は全人口の1%弱で、我が国では患者数100万人を越える代表的な疾患で21世紀に入り、てんかんをとりまく基礎医学(iPS細胞研究、ネットワークの解明、ホメオスターシスからの病態解明)、臨床医学(多くの新規薬、自己免疫や遺伝子異常などの新たな病態、高齢者てんかん、新規診断技術、脳刺激療法、てんかん定義と発作分類とてんかん分類の進歩)、医療(地域診療ネットワーク、国際的てんかん撲滅運動など)の各方面では、めまぐるしい勢いで多様な展開と発展が起こっています。
このような状況で、50回大会から会期が3日間となり次回も3日間で十分に時間をとって計画しています。日本てんかん学会の年次集会の伝統を引き継ぎ、このような医療、研究、教育の各内容を包括的およびより専門的に楽しく学び、さらに議論し、そこから次のシーズとなることを少しでももたらすことができる年次集会を目指したいと思います。特に今回はメディカルスタッフの皆様も積極的に参加いただける企画も十分に考えています。
2)「医療と研鑽と未来」(Best care, Best research and Future)をテーマにいたしました。
てんかんを取り巻く状況には、基礎医学、臨床医学、医療とケアなど実に様々な側面があり、それぞれが密接に関連しています。
相互の架け橋(translatability)が益々進み、近い将来に克服される疾患となることを期待されています。
ベストの「医療」を提供するには、「基礎研究と臨床研究」(研鑽)からの絶え間ない裏打ちが必要で、両者はまさに車の両輪の関係です。それを実行継続するには不断の教育が肝要で「未来」に引き継いでいくことが可能となります。そのような思いで、今回のテーマを考えました。
3)日本てんかん学会は、小児科、精神科、脳外科、神経内科、基礎系など、学際的な会員からなります。
またその会員の割合も時代のニーズを反映して、19990年台以降、10年毎に見ますと徐々に変化してきました。
今回「てんかん・運動異常生理学講座」に所属する私が、年次集会を担当させていただきますのは、今後学際的な視点でてんかん学の幅広い領域に取り組むには専門診療科に必ずしもとらわれなく臨床神経科学のなかでてんかん学を捉える要請があること、またこのような学際的な立場にたつてんかん専門医の育成に今後日本てんかん学会が取り組む必要があることを反映して期待されているものと理解しています。
11月の京都は、1年でも最も魅力的な季節となり、皆様をお迎えすることができます。
国内だけでなくアジアオセアニアをはじめとする諸外国からの先生方とも一緒に、年次集会と京都を満喫いただけますように努力いたします。
皆様のご協力とご参加を何卒宜しくお願い申し上げます。
2016年10月吉日
第51回日本てんかん学会年次学術集会
会長 池田 昭夫
第51回日本てんかん学会年次学術集会
副会長 髙橋 良輔